10月は任侠学園と、もうひと作品観てきました。
ビートルズが存在しない世界を描いた『イエスタデイ』という映画。
私は、洋楽をほとんど聞かないので、ビートルズの曲も、音楽の授業で習ったレベルしか知らない程度です。
そんなビートルズにほとんど触れていない私でも、この映画は充分に人を引き付ける魅力のある作品でした。
ヒロインはなんと、あの超有名なミュージカル映画「マンマ・ミーア:ヒア・ウィ・ゴー」で、メリル・ストリープの若き日を演じている女優さん!
ストーリー、映像、恋愛模様、どれをとっても平和な気持ちで楽しめる「これぞドラマ」といった『イエスタデイ』のゆるい感想です。
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「イエスタデイ」の予告
ちなみに映画を観る前の私のビートルズ知識はこんな感じでした。
- 4人組
- ボーカルはジョンレノン
- ジョンレノンの奥様がオノヨーコ
- なんでも鑑定団のHELP!
普段洋楽をほとんど聞かないと、あの超有名なビートルズのことも、このくらいしか知らないもんなんだなぁと思いました。笑
この程度の知識状態で観に行ったんですが、流れる曲は有名な曲ばかり。
10曲以上が挿入歌として流れましたが、2,3曲以外は全て聞いたことのある曲でした。
挿入歌が流れるシーンは主人公の日常シーンとは印象が変わり、MVのような映像が流れるので、そんなかっこいい演出も見どころです。
映画だと字幕で日本語訳がでるので、じっくりビートルズの曲を聴くのにもいい機会になりました。
疲れた時に何も考えずに観られる良作
ふと、夫とふたりで思い付きで観に行った作品でしたが、イエスタデイこそ、安心安定の「良作」映画でした。
元ネタ(ビートルズの曲)を知らなくても楽しめる、ハラハラドキドキはないけどなんだか心地いい。
そんなストーリーです。
そして主人公に降りかかる出来事も、「目が覚めると自分以外ビートルズを知らない」といったこと以外はいたって平凡でささいなことばかり。
ぼーっと静かに映画と音楽を楽しみたい方に、是非オススメしたい作品です。
ラブロマンスはピュアでわかりやすい
売れないシンガーソングライターのジャック(主人公)が、幼馴染兼マネージャーのエリーに支えられながら、音楽活動をしていく話です。
そんなジャックに恋心を抱くエリーと、エリーの気持ちに全く気づかないジャック。
そんなふたりのピュアな恋物語も描かれています。
途中で、エリーはジャックに気持ちを伝え、結ばれる寸前までいきますが「長い間ジャックを待った自分」に疲れたエリーは、ジャックと結ばれることを拒み、別の男性と付き合いだします。
ビジネスパートナーではなく、女性として愛されたいという素直な主張がぐっときました。学校の先生という設定も真面目で一途なエリーの気持ちを表しているようで印象に残っています。
ピュアなエリーの感情と、そんなエリーへの恋心に気づいたジャックの苦悩が、誰にでもわかりやすく描かれています。
わかりやすいけど、薄っぺらい恋愛映画という訳ではなく、あくまでビートルズの曲と絡めながら、大人がしんみり楽しめるようなストーリー仕立てになっていました。
売れるまでの苦労が「地味」に描かれている
先日ボヘミアン・ラプソディを観たこともあり、ミュージシャンの苦悩といえば、メンバー同士による熱い想いのぶつかり合いとか、レコーティング会社との闘いとか、そういったものを想像していましたが、イエスタデイは全く違ったものを描いていました。
そもそも主人公が考えた曲ではないので、曲のことで苦悩することはありません。
ただ、どんどん有名人になっていくことによって、身の回りの小さな自由がなくなっていったり、両親にこれからの歌手生活のことをどう打ちあけるか迷ったり…そんな小さくて平凡な問題が描かれています。
他にもビートルズの歌詞を必死に思い出そうとしたり、ジャックならではの苦悩といった場面もありました。
「気弱な主人公だからこその悩み」といった流れも、優しいこの映画の雰囲気に合っていて良かったなと思います。
後半は減速展開するけど、それでもいいと思える演技
エリーとのいざこざ、このまま自分を偽ったままでいいのか、悩む主人公ですが、後半はかなり淡々とシーンが変化していき、ストーリが進んでいきます。
序盤は登場人物ひとりひとりの個性が描かれていた気がしましたが、後半はとにかくストーリーの流れ重視といったところでしょうか。
主人公ジャックの想い、エリーの行動、友人ロッキーが全然いい人な件。笑
(ロッキーが途中で何かしでかしてしまうかと不安でしたが、何も起こりませんでした。笑)
登場人物に合わせて、急にシーンが変わるような、そんな感じがしたりもしました。
そして最後に「私たちもビートルズを覚えているの!」という老夫婦が出てきます。
この老夫婦は、何度かジャックの陰に映るシーンがあったので、何かの伏線があるのかとドキドキしていましたが、本当にビートルズを覚えていることをジャックに伝えるだけの役割でした。
ただ、それでも、主人公演じるヒメーシュ・パテルの演技と歌唱力で後半も素直に楽しめる作品ではありました。
超美形という雰囲気ではない主人公とヒロインのおかげで、造り話や、やらせ感がなかったところが個人的には好きでした。
最後は誰もがほっとするような家族の形
ラストシーンは、ジャックが「自分は本当のビートルズじゃない」と明かしてから数年後、ジャックとエリーが家族になって子どもたちと楽しく過ごしているシーンで幕を閉じます。
ジャックが子どもたちと歌いながら、エリーと笑顔で暮らすシーンは、しみじみと「本当の幸せとはなんなのか」を感じます。
ジャックが弾き語りで歌うイエスタデイがとにかくステキな歌声で、本当のビートルズをほとんど知らなかったこともあり、素直に曲に耳を傾けることもできました。
今は夫が持っていたビートルズのベストアルバムを流しながら、映画のシーンを思い出しています。
「まっすぐ真面目に生きる」というテーマの映画をみると、もっと頑張ろうと思える単純志向なので、頑張りたい時にはまた「イエスタデイ」が見たくなると思います。
映画の感想・レビュー